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20歳未満に対してTMS治療は有効か?その根拠は?名古屋の児童精神科医が解説

20歳未満に対してTMS治療は有効か?その根拠は?名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、20歳未満に対してTMS治療は有効か?その根拠は?について解説します。

20歳未満に対するTMS治療の有効性とその根拠

TMS(反復経頭蓋磁気刺激)の有効性について
20歳未満の患者に対するTMS(経頭蓋磁気刺激)は、特に治療抵抗性のうつ病や神経発達障害(ADHD、自閉症スペクトラム障害など)に対して有効である可能性が示されています。以下に、その有効性を支持する根拠と治療の背景を説明します。

1. 有効性の根拠
1.1 治療抵抗性うつ病(TRD)への有効性
研究例:Croarkin et al. (2016) の研究では、青年期の治療抵抗性うつ病患者に対して、反復TMS(rTMS)が安全かつ効果的であることが示されています。
結果:高頻度rTMS(10Hz)を左前頭前野に適用した場合、うつ病症状の有意な改善が確認されています。
理由:rTMSは、うつ病に関連する脳領域(背外側前頭前野)の神経活動を調節し、症状改善を促進します。

1.2 神経発達障害(ADHD、自閉症)への可能性
ADHD:実験的な研究では、低頻度TMSが前頭前野の過剰活動を抑制し、注意力や衝動性の改善が見られることが報告されています。
自閉症スペクトラム障害(ASD):TMSが社会的スキルや反復行動の改善に寄与する可能性があることが示唆されています(Oberman et al., 2016)。
メカニズム:TMSは、神経可塑性を促進し、神経回路のバランスを調整する効果があります。

1.3 安全性の証拠
TMSは、20歳未満の若年層においても安全性が高いことが報告されています。
副作用としては、軽度の頭痛や一時的な刺激部位の不快感が挙げられますが、重大なリスク(けいれんなど)の発生頻度は極めて低いです。

2. 具体的なエビデンス
Wall et al. (2011):青年期の大うつ病に対するTMS治療のレビューで、安全性と効果が確認されています。
Rajji et al. (2020):青年期のうつ病に対するTMSのシステマティックレビューでは、rTMSが症状改善に有効である可能性が示されています。ただし、単独治療としてはプラセボとの差が小さい場合もあり、薬物療法との併用が推奨されています。

3. TMS治療の課題
長期的な効果:20歳未満の患者におけるTMSの長期的な有効性や影響についてのデータはまだ限定的です。
標準化されたプロトコルの不足:青年期の患者に対するTMS治療のパラメータ(刺激頻度、セッション数など)は統一されておらず、さらなる研究が必要です。
適応条件の絞り込み:特定の精神疾患や症状における効果の検証が進行中であり、治療適応の明確化が求められます。

4. 結論
TMS治療は、20歳未満の患者に対しても有効性と安全性が確認されつつある治療法です。特に、治療抵抗性うつ病や神経発達障害に対する補助的な治療として有望です。

当法人では20歳未満の方へのTMS治療を日本導入時から継続的に行って、データ解析をしています。

その結果としても、有効性、安全性は認めており、治療選択肢の一つとなっています。

薬を使わず治療したい、もしくは今使っている薬をなるべく減らしたい、と考えている方、当院へご相談ください。

モニターも随時募集しています。

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