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20歳未満に対するTMS治療の有効性について、薬と比較して副作用が少なく安全性高いか、名古屋の児童精神科医が解説

20歳未満に対するTMS治療の有効性について、薬と比較して副作用が少なく安全性高いか、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、20歳未満に対するTMS治療の有効性について、薬と比較して副作用が少なく安全性高いか、について解説します。

20歳未満に対するTMS治療の有効性と安全性:薬との比較
TMS(経頭蓋磁気刺激)治療は、薬剤による治療に比べて副作用が少なく、非侵襲的な治療法として注目されています。特に、20歳未満の若年層においては、その安全性の高さと効果の可能性から、精神科領域での利用が増加しています。以下に、有効性、安全性、薬との比較について詳しく解説します。

(1) TMS治療の有効性
① うつ病に対する効果
若年層における治療抵抗性うつ病(薬物治療で効果が得られにくい場合)に対して、TMSは有効性が示されています。研究によれば、症状の緩和率が約60~70%に達し、寛解率も30~50%とされています。

② ADHDや不安障害への応用
ADHDや不安障害に対しても、TMS治療が有効であることを示す研究が増えています。特に、注意力や集中力の改善、不安感の軽減が報告されています。

③ 神経可塑性の向上
TMSは脳の神経回路を再構築する効果があり、特定の脳領域(前頭前野など)の機能改善を促進します。これにより、長期的な症状の改善が期待できます。

(2) TMS治療の安全性
① 副作用の少なさ
薬剤治療に比べて副作用が非常に少ない点が大きな利点です。

一般的な副作用:軽度の頭痛、治療中の軽い不快感、治療部位の筋肉のピクピク感。
稀な副作用:けいれん(非常にまれで、適切な設定で行えばリスクは極めて低い)。
② 薬剤治療との比較

薬物治療の副作用:
20歳未満では、抗うつ薬や抗不安薬による副作用(体重増加、眠気、不安感の悪化、自殺念慮のリスク増加など)が問題となることがあります。
ADHD治療薬では、食欲不振、睡眠障害、成長遅延などが懸念されます。

TMSの利点:
TMSは体内に薬剤を取り込む必要がなく、全身的な副作用がほとんどないため、特に発育段階にある若年層にとって安全性が高い。

③ 長期的な影響
現時点での研究では、TMS治療による脳への長期的な悪影響は報告されていません。

(3) TMS治療と薬の併用
① 補完的な役割
TMSは薬剤治療に抵抗性を示す患者に対して特に有効ですが、薬剤と併用することで相乗効果が得られる場合もあります。
薬の副作用が強い場合、TMSを主な治療とし、薬を補助的に用いることで副作用を軽減できます。

② 薬剤を使用したくない場合の選択肢
親や患者が薬物治療に抵抗を感じる場合、TMSは非薬物療法として重要な選択肢となります。


まとめ
20歳未満におけるTMS治療は、薬剤に比べて副作用が少なく、特に脳が発達段階にある若年層にとって安全性が高い治療法です。薬剤治療の副作用に懸念がある場合や薬に効果が見られない場合、TMSは非常に有効な選択肢となります。

推奨される治療アプローチ

単独使用:薬物治療を避けたい場合や薬の効果が得られない場合。
併用療法:薬の効果を高めたい場合や、副作用を軽減しながら治療したい場合。

精神科薬を使いたくない、今使っている薬を減らしたい、副作用で薬が使えなかった、効果がなかった、場合にTMS治療は有効な選択肢となります。

当法人では日本にTMSが導入されてから現在まで継続してTMS治療を行ってきており、多くの患者さんに利用してきてもらっています。

現在モニター募集も行っております。


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