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20歳未満に対するTMS治療の有効性と安全性について、名古屋の児童精神科医が解説

20歳未満に対するTMS治療の有効性と安全性について、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、20歳未満に対するTMS治療の有効性と安全性について解説します。

20歳未満に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激)の有効性と安全性について
TMS治療は、うつ病や神経疾患に対する非侵襲的な治療法として、成人を中心に広く実施されています。20歳未満の若年者に対しても、特定の精神疾患や神経疾患に有効である可能性が示唆されていますが、成人と比較すると研究や臨床データが限られているため、慎重な評価が必要です。

以下に、有効性と安全性についての現時点での知見を詳しく説明します。

1. TMS治療とは?
経頭蓋磁気刺激(TMS)は、頭部に電磁コイルを配置し、脳の特定の部位に磁場を発生させることで神経活動を調整する治療法です。
主に、大うつ病性障害(MDD)の治療でFDA(アメリカ食品医薬品局)や日本の厚生労働省に承認されています。
非侵襲的で痛みがほとんどなく、薬剤を使わない治療法です。

2. 20歳未満へのTMS治療の有効性
(1)うつ病に対する有効性
若年者(思春期を含む)の治療抵抗性うつ病(TRD)に対するTMS治療の有効性を調査した研究では、症状が改善した例が報告されています。
一部の臨床試験では、成人と同等かそれ以上の効果が観察されています。

具体的な効果:
気分の改善
集中力の向上
睡眠の質の改善

(2)神経発達障害(ADHD、自閉症スペクトラム障害:ASD)
ADHD(注意欠陥・多動性障害):
前頭前野の神経活動を調整することで、注意力や衝動性の改善が期待されています。
一部の研究では、TMS治療がADHDの症状を軽減する可能性が示されています。

自閉症スペクトラム障害(ASD):
社会的相互作用やコミュニケーション能力に対する改善が報告されていますが、データは限られています。
ASDにおける反復性の動作や行動にも効果が期待される場合があります。

(3)強迫性障害(OCD)
成人に対するTMS治療はFDAに承認されていますが、20歳未満に対するデータは少ないです。
一部の報告では、症状の軽減や不安の緩和に効果があったとされています。

(4)その他の神経疾患
チック症・トゥレット症候群:
衝動性やチック症状の改善が報告されています。

PTSD(心的外傷後ストレス障害):
若年者のトラウマ症状軽減に一定の効果が示唆されています。

3. 20歳未満におけるTMS治療の安全性
成人と同様に、TMS治療は非侵襲的で、副作用が少ないとされています。
主な副作用:
頭痛(軽度)
治療部位の不快感(皮膚の軽い刺激や温熱感)
治療中の筋肉のけいれん(顔や頭部)
一時的で軽度な副作用が大半で、施術後には自然に消失します。


4. TMS治療の適応
適応
治療抵抗性うつ病を含む、従来の治療で効果が得られない精神疾患。
精神疾患と診断された若年者で、薬物療法や心理療法の効果が不十分な場合。
ADHDやASD、OCDなどの神経発達障害において、症状改善の可能性がある場合。

まとめ
TMS治療は、20歳未満の若年者に対して有効性が示されつつある治療法で、特に治療抵抗性うつ病やADHD、自閉症スペクトラム障害(ASD)、強迫性障害(OCD)などにおいて期待されています。

当法人ではTMS治療が導入された当初から、20歳未満の症例に対する治療を行ってきました。
蓄積されたデータを解析し、有効性と安全性についての論文も作成しています。

現在も継続してモニター募集しております。

薬を使いたくない方、薬が副作用で使用できなかった方、少しでも今使っている薬を減らしたい方、ぜひご検討ください。


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