臨床情報「統合失調症に対するTMS治療の有効性について」
統合失調症では幻覚・妄想などの陽性症状、感情鈍麻や意欲低下などの陰性症状、または認知障害などの難治性の症状がありますが、これらは投薬に完全には反応しません。 rTMS(磁気刺激治療)は、統合失調症患者、特に持続性の聴覚性幻覚を有する患者に対する有用な治療法として検討されてきました。 DLPFC(背外側前頭前野)の活動低下は陰性症状および認知症状と相関しているのに対し、聴覚性幻覚を含む陽性症状は左頭頂頭頂皮質(TPC)の活動亢進と関連しているように思われることが示唆されています。 統合失調症における特定の症状のをターゲットとする最適なrTMSプロトコルを見つけることは、臨床研究における最も重要な問題の1つだと考えられます。
この論文ではいくつかの研究結果をまとめて報告しています。陰性症状、陽性症状に関しては有効性がでなかった報告もありますが、プラセボと比較して有効性を認めた論文も報告されています。
以下に実際の論文の一部を抜粋しました。
全文も閲覧可能ですので、興味のある方はぜひ原文をみてください。
薬物が効果がなかったり、副作用で持続困難であったり、または陰性症状の一部が残存してしまうケースが少なからず認められると思います。
その中で薬物療法以外の治療法があることは、治る可能性を少しでもあげることができるのではないかと思っています。
TMSに限らず、科学的な根拠が少しでもある治療がでてくることは、医学の進歩に非常に重要なことだと考えます。
医療法人永朋会 理事長
加藤 晃司
Neurosci Bull. 2017 Dec;33(6):747-756. doi: 10.1007/s12264-017-0185-3. Epub 2017 Oct 24.
Updated Review on the Clinical Use of Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation in Psychiatric Disorders.
Guo Q1, Li C1,2,3, Wang J4,5,6.
Schizophrenia Most patients with schizophrenia suffer intractable symptoms such as auditory hallucinations, negative symptoms, or cognitive impairment, which fail to fully respond to medication. rTMS has been proposed as a useful treatment for patients with schizophrenia, especially those with persistent auditory hallucinations. Evidence suggests that hypoactivity in the DLPFC is correlated with the negative and cognitive symptoms, while positive symptoms, including auditory hallucinations, appear to be associated with hyperactivity in the left temporo-parietal cortex (TPC) [39] (Table 2). Finding an optimal rTMS protocol to target a specific symptomatic dimension in schizophrenia is among the most important issues in clinical studies.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5725388/pdf/12264_2017_Article_185.pdf