臨床情報 「モラハラはADHDの疑いがあります」
今回は、数年前からよく耳にする「モラルハラスメント(モラハラ)」についてです。
(あまりこういった過激な、メディア好みのワードは苦手なのですが…)
診療の中で、患者さんの家庭の状況を伺う中でしばしば挙げれる言葉です。
「モラハラ」と言われている本人が患者さんとして来院されることはあまりないように思います。
この「モラハラ」といわれる言動について、みなさんから伺うことをまとめると…
・常にイライラしていて、言葉にトゲがある。否定的。威圧的。
・キレたら「いわゆる言ってはいけない言葉:死ね!離婚だ!等の人格否定的であったり、取り返しのつかない言葉」をいってしまう。
・ものに当たるなど、暴力的な言動。
・家を飛び出す、などの衝動的言動。
これらの話を聞いていると、
「モラハラ」といわれている言動は、ADHDの衝動型のひとつの典型的な症状に思えてきます。
反抗・挑戦的な態度(不機嫌な態度)で振る舞い、他者からの悪意を敏感に感じ取りやすく、また他者に対しても悪意を含むニュアンスの言動を取ってしまう。
自身がミスをしても不機嫌になり、他者のミスには厳しく怒ってしまう。
ささいなことで過興奮して、かんしゃくに繋がる。
冷静に考えたら言ってはいけないような言葉を衝動的にいってしまう。
衝動的に暴力や反倫理的な行動をとってしまう。(衝動性がモラルを超える)
「モラハラ」といわれている方が全員ADHDに該当するわけではありませんし、不注意症状の確認も診断には必要です。
しかし、「モラハラ」の症状に悩まれて、対応を諦めている方がいらっしゃるなら、
もしかすると、ADHDであるなら…言動の改善が期待できる可能性があります。
悩まれている方がいれば、なかなか話しにくいことではあると思いますが、ぜひご相談ください。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平