臨床情報 「成人うつ病へのアプローチ」
成人の受診される患者さんの中でもっとも多い疾患の一つは、『うつ病』です。
これまで、発達障害(自閉スペクトラム症)やADHD等の発達に関する疾患へのブログ記載が多かったので、
今回は当院にて可能なうつ病への対応を書かせていただきます。
まず、「抑うつ」に対しての治療を行うことを判断することです。
(診断名はうつ病である場合、他疾患に併発する形で「抑うつ」を認めること、ともにありえます。
しかし、今回はこの診断について掘り下げることは控えたいと思います。)
対応として、
環境調整 + 薬物療法 and/or 心理療法 and/or TMS
1、環境調整
原因となりうるストレスを減らし、また、休息できる環境を確保することです。
よく行うこととして、仕事が原因である際、勤務時間の短縮や残業・夜勤の制限、仕事内容の調整、
職場の責任者の方に対して「複数の指示を同時に行うのではなく、優先順位を明確に一つ一つ明文化した指示」をお願いするなど具体的なものも多いです。
家族の方に疾患の理解を促し、家庭内の休める環境を作ることも重要です。状況により入院も判断します。
2、薬物療法
抗うつ薬、年齢や副作用の有無により漢方も考慮します。
急性期の不安の強い方、不眠を認める方には、短期間の抗不安薬、睡眠導入剤も提案することが多いです。
3、心理療法
症状のもっとも辛い急性期は薬物療法にて症状(抑うつ、無気力、不安、不眠など)の緩和や休養が優先されるかもしれません。
しかし、継続・再発した症状や再発予防に対し、感情の吐露や思考の整理、思考形態へのアプローチは有効です。
心理カウンセリング、認知行動療法、マインドフルネスなどの提案が多いです。
また、発達障害やADHD等の傾向をもつ家族への対応に悩まれる方には、ペアレントトレーニングなどもあります。
4、TMS
薬物療法が効果のなかった方・副作用などで継続できない方、再燃・再発を繰り返す方など難治性うつ病の方にまず提案されます。
薬物療法の奏功性との因果関係は乏しい、つまり抗うつ薬にて効果の乏しかった方でも十分な効果が望めます。
副作用の少なさ、安全性と効果の大きさから、治療の第一選択にされる患者さんも増えてきている実感があります。(認知されてきたからでしょうか)
保険外治療ではあるので、治療代の負担、多い通院頻度(プロトコルでは1〜2ヶ月間×週5ですが、必ずしも満たす必要はないです)がデメリットとして挙げられます。
(しかし、症状改善が早く望めることを考えると、他の治療法に比べて一概に経済的マイナスとは言えないと思います。)
抑うつでお悩みの方や上記治療に興味のある方は、医師までご相談ください。
*「抗うつ薬の止めどきはいつか」 についての記事です↓
https://ameblo.jp/meiekisakou-mentalclinic/entry-12485569283.html
*クリニックブログの「うつ病」の特集です。
https://meiekisakomentalclinic.com/blog_category/disease/httpsmeiekisakomentalclinic-comblog61/
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平