臨床情報 「ギフテッドにて悩むお子さんへの支援① 具体例」
ギフテッドにて悩むお子さんへの支援① 具体例
前回のブログの続きとなります。
『ギフテッドへの誤解 治療の可能性を』
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前回の記事にも書きました通り、
ギフテッドのお子さんにどのような支援を行うことがよいか、と考えると2つのタイプにまず分けられます。
1、社会適応性に大きな問題がなく過ごされている方。
2、対人交流、感覚過敏、不登校など、社会的にお困りがある方。
このうち、2に該当するようなギフテッドに対する支援と発達特性に対する配慮、2つの対応を必要とする方を、2Eの(Twice-Exceptional・二重に特殊な)お子さんといいます。
今回はこの2Eの方への支援の実際の例をまず書きたいと思います。
(1に含まれる方にも、ギフテッドへの支援や時にメンタルサポートが必要な例が多いと思っております。そのことはまた今後記載します。)
教育という観点で、2Eのお子さんに限らず、あらゆるお子さんに必要な環境は簡単にいうと主に2つに分けられます。
①いわゆる学力など、知的能力を個人に合わせて伸ばすこと。
興味や希望に応じて、分野別に特化した知識や能力を伸ばすこと。
②対人能力や感情のコントロール、規則正しい生活など、気持ちよく社会で暮らせるようなスキルを伸ばすこと。
2Eのお子さんに対する支援も①、②の観点で考える必要があります。
総論的な話では掴みにくいので、具体例をあげたいと思います。
丸レッド11歳男児。幼少期から言語機能が高く、知的好奇心の高いお子さんだった。
小学校入学後、あまりクラスになじめない感覚があった。
授業が面白くなく、宿題を出さないことが何度もあったため、学力のわりに成績表はよくなかっ他。
小学2年夏休み明けから不登校となった。
心理検査にて、全IQ130台。言語機能に比較すると作業記憶が低めのばらつきあり。
まず症状やお悩みを聞き取ることからです。
⑴クラスに馴染めない感じ?
右矢印同級生と話が合わない。
自分が話をすると、なんか変な空気になる。
(より詳しく)
右矢印相手の話のが面白くないと感じると、話を最後まで聞けない。
相手の話に割り込んでしまう。相手に対し退屈な表情になることが多い。
(多動・衝動性の傾向?)
自分のことを悪口を言っている気がする。(感覚過敏傾向?)
(より詳しく)
右矢印不注意・多動・衝動性について:
退屈な授業はいてもたってもいられなくなる。集中できない。
簡単なのに宿題に向き合えない。
話しかけられても気がつかないことが多い。
ケアレスミスが意外に多い。
よく物をなくす。
忘れ物はあまりないかも。
対人交流について: 幼稚園の頃、同級生とおにごっこなど遊ぶ姿があり、親は異変をかんじなかった。クラスメートと話が合わない。
感覚過敏:クラスのざわざわした音が苦手。他の生徒が怒られる姿を見ると苦しくなる。悪口を言われている感じがする。
右矢印この時点で、ADHDの傾向、感覚過敏を認識します。
対人交流の難しさは、衝動性に伴うものか、知的能力が極端に高く周囲と話題が合わない可能性によるものかもしれない。純粋なコミュニケーション障害の有無は判断できない。
長くなるのでつづきは次ブログにて。
名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平