臨床情報 「「学校の中の発達障害」について」
「学校の中の発達障害」について
本田秀夫先生の本です。
学校生活にお悩みをお持ちのお子さんに主に焦点を置いた内容ですが、あらゆるお子さんに対する「教育」とはどうしたらよいのか、という学校教育への本田先生の考えや提言が豊富に記載されています。
本田先生のお人柄故の口調が穏やかでお子さんへのまなざしの優しさを残しつつ、非常にシャープな切り口のご意見がひとつひとつ核心をついています。
お子さんへの教育の目標は、
『対人交流を行うことや、学力をつけること、毎日の活動を通して将来社会で生きていく能力をはぐくむこと』
と言えるので、可能な限り、お子さんそれぞれの得意や不得意、興味の内容に応じてカスタマイズすることがもちろん良いです。
しかし、全国の大勢の児童に対し、細部までカスタマイズされた教育は現実的に行えないですし、教育内容の再現性や質をすべて担保はできないので、
「だいたい多くの子供にとって良いと思われる教育」のパッケージプランが現在の学校教育といえます。
しかし、「だいたい多くの子供」は普通学級でいうと、知的能力を指標とすると95%くらいの児童がふくまれるため、それだけ大勢の子供に同じ教育をおこなうことは無理があるのは当然です。
先生方の努力や心がけに頼るだけでなく、学校教育の抜本的な変化が必要なのだろうと常々感じます。
名駅さこうメンタルクリニック
院長
丹羽亮平