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コロナ禍で 5 歳児に約 4 か月の発達の遅れ

コロナ禍で 5 歳児に約 4 か月の発達の遅れ

京都大学大学院医学研究科の佐藤豪竜助教率いる研究チームによる研究です↓




コロナ禍で 5 歳児に約 4 か月の発達の遅れ ―3 歳、5 歳ともに発達の個人差拡大―



先日のニュースで気になったものです。







 これまでもコロナ禍の対応が学生の学力にネガティブな影響を与えることを示すデータは多数ありましたが、就学前の児童の発達にも統計的にネガティブな結果が出たとのことです。



 この結果に対して大きな驚きはありませんが、ステイホームやマスク必携等を継続したことによるデメリットがデータとして出せたことで、今後のコロナ対応や同じようなパンデミック等が起きた際の対応に影響を与えることができそうに思います。



(コロナ禍のステイホームの対応は、様々な要因によって小児の発達に悪影響をもたらすことは予想されていましたが、明確なデータとして表すことができた意義は大きいです。)







上記PDFに記載されているとおり、結果に関連すると示唆されるのは「保育園の保育の質と発達との関連性」「保護者の精神状態と発達との関連性」となっています。





 自身のかみ砕いた解釈ですが、ステイホームなど保育園や幼稚園の閉鎖やイベント中止など自宅外の育児を担う施設が閉鎖したために、児童発達において、育児のおける各家庭の比重が増しました。そのため、各家庭の対応の違いが「個人差の拡大」につながったと考えられます。





また、個人的には保育園・幼稚園による集団生活や活動の減少、保護者の精神症状の悪化だけではなく、ステイホームに伴うスマホ・動画・ゲームのデジタル依存傾向に拍車がかかったことは、成長発達にネガティブに働く要因だと思います。





 未就学児の児童では、今後小学校入学などを通して発達の遅れが追いつく可能性が高いと認識しておりますが、

「保護者の精神症状の悪化」が継続していたり、コロナ禍以降も極端に動画やゲームへの依存傾向が強い児童には不安を感じます。



 今後のより長期的な研究結果も知りたいです。




名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平