広汎性発達障害(PDD)と強迫性障害(OCD)の合併について
広汎性発達障害(PDD)と強迫性障害(OCD)の合併について
この二つも合併すると、ややこしいことになるケースですね。
PDDのイマジネーション障害から派生する、こだわり、という所見と、OCDの強迫がオーバーラップしてくるからです。
簡単にいえば、こだわりは、苦痛をともなっておらず、強迫は、苦痛をともなう、ということです。
自我違和性という、本当はこんなことは馬鹿げたことだと思っているのに、確認してしまう、行動にうつしてしまう、ことです。
つまり自分でも変だとおもっているかどうか、違和感があるかどうかが、強迫とこだわりの最大の違いです。
こだわりは、どちらかというと自我親和性があります。やりたくてやっている、自分にフィットしている感じ、やってうれしい・満足、といった陽性のものです。
強迫は、つねに葛藤が生じる、陰性のものだと思います。
PDDとOCDが合併すると、この異質のものが混在するわけですから、外からみていると分かりにくいわけです。
ですが、本人に丁寧に確認すれば、このあたりは紐解くことができるはずです。
強迫行為自体が存在することが、ルーティンみたいになっていくと、それが変わることへの抵抗もでてきます。
PDDに合併する強迫に関しては、認知行動療法はもともとの認知が通常発達とは異なりますから、むいていません。
早急にOCD部分だけでも薬物療法で改善させる方がいいでしょう
OCDが改善してくれば、PDDの部分を切り離して扱うことができるようになります。
通常OCDは、病態水準が悪く、Sの前駆症状になったりすることもある、どちらかというと重篤な所見です。
進行して、違う病気になっていかないか、注意する必要があります。
ですが、やはりPDD合併例では、そのようなことは起こりにくいと思います。
原因は分かりませんが、S+PDDの時の経過に似ていると思います。
医療法人永朋会 理事長
加藤晃司