発達障害から統合失調症の早期ケア
発達障害から統合失調症の早期ケア
以前のブログにて発達障害(自閉スペクトラム症)の患者数が増えている話をしました。
そのことについて、記載した内容以外に、良い点として、「統合失調症の患者さんの早期ケア」があると思っております。
統合失調症の罹患数は長期的にも短期的にも変化はなく0.7~1%です。
しかし、この十数年で統合失調症の入院患者数は3割ほど減少しております。
つまり、外来診療で治療される患者さんが年々増えているということです。
統合失調症の入院患者数(つまり重篤な症状の患者数)の減少の一番の理由は、抗精神病薬の進歩にあります。
この20年くらいに日本にて発売となった抗精神病薬です。↓
(現在の治療のスタンダードがそろっていますね)
シクレスト(アセナピン):2021年 日本発売
ラツーダ(ルラシドン):2020年6月11日
レキサルティ(ブレクスピプラゾール):2018年4月18日
エビリファイ持続性注射薬(アリピプラゾール):2015年5月25日
ロナセン(ブロナンセリン):2008年
エビリファイ(アリピプラゾール):2006年
ジプレキサ(オランザピン):2001年
しかし、昨今より顕著になった児童患者の精神科受診の増加も、統合失調症の早期発見・早期治療に繋がり、症状悪化のリスクを下げているのではないかと個人的に思っております。
以前勤務していた入院施設にて統合失調症の長期入院患者さんの現病歴を確認すると、(当時は現在よりも少なかった)不登校歴のある方や、低学年時から学習の遅れを指摘された方など児童期から懸念された症状の記述が少なくありません。
現在では、これらの症状があれば、早めに精神科に受診され治療に結びつきやすい点が良いですね。
また、発達障害などの患者さんについて、感覚過敏やかんしゃくなどに対し、しばしばエビリファイを処方することがあります。
そのことも妄想症状の出現を緩和しているのかもしれません。
(比較的軽度な被害妄想を訴える児童患者さんは非常に多い)
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平
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