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生育歴を振り返る作業は、大人にやっても、診断にも治療にも役にたつ、名古屋の児童精神科医が解説

生育歴を振り返る作業は、大人にやっても、診断にも治療にも役にたつ、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、生育歴を振り返る作業は、大人にやっても、診断にも治療にも役にたつ、について解説します。

ASDやADHDの診断基準には、小学生くらいまで症状がさかのぼることができること、と入っているため、診断をつけるためにも、過去の生育歴を聞かなくてはなりません。

しかし大人になってから、小さい時の話をきかれることはあまりないはずです。

何歳までの記憶があるかは人によって違います。

2-3歳まで思い出せる人もいれば、保育園くらいまでの人もいるでしょう。

どちらにしても、自分が思い出せる範囲で、過去の自分を振り返ることは色んな意味で意味があります。

親との関係、自分が小さい時何を考えていたか、世界をどうみていたか、友人との関係、学校生活、などなど、大人になるとほぼ考えることがないことをたくさん思い出さされます。

発達障害やその他精神疾患の診断のためにも必要ですが、自分がいままでどう生きてきて、いまからどう生きていきたいのか、それを考えることは、非常に精神科的には治療的なことです。

他人との関係は、まずは養育者との関係からはじまり、他人へと広がっていきます。そしてその連続が今につながっていきます。

価値観、信頼感、自我機能、自己評価、など、誰かとの関係のなかからしか育ってこないものです。

自分がなぜ今、この状態になっているか、紐解く鍵は過去からの連続性の中に転がっていることが多いです。もちろんそうでない場合もあります。

大人になって、目の前のことにしか目がいっていない状態になっていること、よくあります。視野はめちゃせまくなっていて、固定概念にがちがちにしばられていたりします。

そこからいったん思考をはなして自分をみるためには、過去を振り返る作業が必要なことがあります。

特に診断がつくような状態でなくても、カウンセリングでそのことをやるためだけにクリニックに来ている方もいます。

自分の所属していた大学病院では、新米の時に、一人ずつ、精神分析の先生が担当について、過去の振り返りをトレーニングとしてやっていました。

やってみたことがないとわからないのですが、意味のあるものになったと思います。

自分がどうしたいのかわからない、地に足が付かない時にも、結構有効な手段だと思います。

医療法人永朋会 和光医院
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