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生育歴を聴取するのに、どのくらいの時間をかけるか

生育歴を聴取するのに、どのくらいの時間をかけるか

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、強迫症状は子供でも、大人でも、注意が必要、について解説します。
児童精神科がらみの講演会をしていると、生育歴って子どもでも、大人でも大事ですよね、という話をするのですが、すると生育歴を聞くのにどのくらいの時間をかけますか?みたいな質問をされることがあります。

その質問には、初診の時点でというニュアンスが入っていることが多いのですが、結論から言うと、初診時には疑っている病名にとって大事な部分だけをさっときいて、確定診断にむけて、再診のたびに少しずつ聞いていく、という形にしています。

それは単純に生育歴のすべてを初診に確認するためにはそれだけの時間がとれない、という現実的な問題と、生育歴についてはなんどもなんども聞くものではないですから、その生育歴を聞くという行為自体を、効果的なタイミングで使いたい、というのがあります。

母親から生育歴を確認するのか、本人からなのか、それとも祖父母なのか、そうではない養育者なのか、いろんなパターンはあると思います。
例えば母親から生育歴を聴取するのであれば、それを子どもの前できかせるか、聞かせないか、どの程度、自分との関係ができたあとで聞くか、など、診断名、病態水準、などを踏まえ、それぞれに対して異なるタイミングで重要な生育歴を聞くようにしています。
それはそれ自体が治療的な意味を持つと思っているから、いちばんそれが刺さるタイミングで使いたい、と思っています。

もちろん場合によっては、特に病態が軽い人の場合には、初診の段階で、だー--と聞いてしまうこともあります。
生育歴を本人の前で確認することによって、自分が愛されて育ってきたことが分かれば、器質的な疾患でもない限り、治療はそれで終わってしまうこともあるからです。

もちろん、初診でおしまいというわけではなく、その後の経過を見ますが、本質的な治療は初回で終了してしまうこともあります。

逆に主訴が軽そうでも、病態が重たいということも少なからずあります。

だからなるべく早く生育歴、特に3歳までの生育歴は確認しておきたいところです。

それは生育歴を聴取しなければ、病態水準を推測することができないからです。

だから生育歴の聴取は、どの程度初診でやるかは、患者さんによって異なってきます。

しかしそれほど手間なことでもないのです。

どこを聞くのかはおさえるべきポイントがあります。
これは実際に診察室の中に一緒に入って、ケースごとにトレーニングしなければ身につかない代物です。

だから児童精神科医を育てるのには時間がかかる。

それに心という目に見えないものを扱う以上、もともと見えないものをみる力が最低限はそなわっている必要があります。

もともと苦手な人は、児童精神科、は向いていない。私は児童精神科医になりたいといってきた先生たちの中で向いていない人には向いていないからやめた方がいいと言ってきました。それが本人にとっても、患者さんにとっても、いいと今でも思っています。

といった感じで、生育歴を聞くことはいろんな意味で大事です。

大人でも0歳からのことを確認されることは人生でそんなになんどもないはずです。

しかし今の自分とは過去からの連続性の中にしかいません。

自分らしく生きるとはなんなのか、その答えは過去にあることもあります。

カウンセリングにはそういう意味合いもありますので、いまの自分にしっくり来ていない方、ぜひご相談ください。

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