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心の理論とは、名古屋の児童精神科医が解説

心の理論とは、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

今回は、心の理論とは、について解説します。


心の理論(Theory of Mind, ToM)とは?

心の理論(Theory of Mind, ToM)とは、他者の思考、感情、意図、信念を理解し、それに基づいて行動を予測する能力のことを指します。この概念は、発達心理学や認知科学、児童精神医学などの分野で広く研究されています。

児童精神科における心の理論の重要性
児童精神科では、心の理論の発達が以下のような精神的・発達的な課題と関連していることが指摘されています。

自閉スペクトラム症(ASD)との関連

ASDの子どもは、他者の視点を理解したり、暗黙の意図を推測することが苦手なことが多い。
これにより、社会的コミュニケーションや対人関係の困難が生じる。
注意欠如・多動症(ADHD)との関連

ADHDの子どもは、衝動的な行動や注意の制御の困難から、他者の視点を十分に考慮できないことがある。
発達性協調運動障害(DCD)や学習障害(LD)との関連

これらの障害を持つ子どもも、心の理論の発達が遅れる場合があり、学校生活や社会生活での困難が見られることがある。
不安障害やうつ病との関連

他者の意図や感情を過度に誤解することで、対人不安が強まり、社会的な回避行動が増えることがある。
心の理論の発達と評価
一般的に、心の理論の発達は以下の段階を経ると考えられています。

1〜2歳:「共同注意」の発達(例:指差しをして他者の注意を引く)
3歳頃:他者の願望や意図を理解し始める
4〜5歳:「誤信念課題(False Belief Task)」に成功し、他者の誤った信念を理解できるようになる
6歳以降:より高度な社会的推論(皮肉、比喩、ジョークの理解)ができるようになる

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子は、この心の理論の獲得ができない、もしくは遅れます。

多くの子はまったく心の理論を通過しないことはなく、遅れつつも獲得しますが、複雑な他者の心の理解となるとむつかしくなることがあります。

4歳までの間の発達歴で、心の理論の獲得ができているのか、遅れているのか、まったくできないのか、の予測はできます。

だから3歳児検診はタイミング的にも重要です。

心の理論の獲得が遅れているのなら、早期療育を行うことが可能ですし、それにより発達を促すことにつながります。

もちろん検診に児童精神科医がいることは少ないので、気になることがあれば当院で診察可能ですので、ご相談ください。

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