<再生医療×精神科>うつ病に対して、TMS治療とエクソソーム点滴の併用は相乗効果を発揮するか?名古屋の児童精神科医が解説
<再生医療×精神科>うつ病に対して、TMS治療とエクソソーム点滴の併用は相乗効果を発揮するか?名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、うつ病に対して、TMS治療とエクソソーム点滴の併用は相乗効果を発揮するか?について解説します。
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TMS治療とエクソソーム点滴の併用は、うつ病治療に対して相乗効果を発揮する可能性があります。
それぞれ異なる作用メカニズムを持ちながら、脳の神経可塑性を促進し、炎症を抑え、神経伝達を改善する効果が期待できます。
1. TMS治療(経頭蓋磁気刺激)の役割
① 基本概要
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)は、磁場を利用して脳の特定領域を刺激し、神経活動を調整する非侵襲的な治療法。
うつ病患者に多くみられる前頭前野(特に左DLPFC)の低活動を改善し、神経伝達を活性化。
抗うつ薬が効かない難治性うつ病にも有効とされる。
② 作用メカニズム
脳の神経可塑性を促進 → シナプスの形成を増やし、神経回路を強化。
ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンの分泌促進 → うつ症状の改善。
炎症を抑制 → うつ病の神経炎症仮説(ミクログリアの活性化)に対処。
③ うつ病への効果
症状の改善率は 50~60%(難治性うつ病の場合)。
副作用が少なく、薬物療法と比較して忍容性が高い。
2. エクソソーム点滴の役割
① 基本概要
エクソソームは、細胞間の情報伝達を担う微小な膜小胞(ナノサイズの小さな細胞外小胞)。
幹細胞由来のエクソソームには、成長因子、抗炎症物質、神経修復因子が豊富に含まれており、組織再生や炎症抑制に効果が期待される。
② 作用メカニズム
神経修復:
幹細胞由来エクソソームがニューロン(神経細胞)の成長を促し、脳の可塑性を向上。
抗炎症作用:
うつ病患者に多い慢性炎症や脳内のミクログリア活性化を抑制。
BDNF(脳由来神経栄養因子)増加:
BDNFは神経細胞の成長・維持に不可欠で、うつ病患者では低下していることが多い。
エクソソーム治療によりBDNFが増え、神経回路が回復しやすくなる。
ミトコンドリア機能の改善:
エネルギー代謝を活性化し、慢性疲労や脳のエネルギー不足を改善。
③ うつ病への効果
うつ病の新たな治療法として研究が進行中。
神経炎症を軽減し、神経修復を促すことで、長期的な改善が期待できる。
3. TMS治療とエクソソーム点滴の相乗効果
① 神経可塑性の強化
TMSは神経回路を活性化し、エクソソームは神経修復を促進。
組み合わせることで、神経回路の機能回復が加速する可能性がある。
うつ病では前頭前野の神経結合が減少しているため、この組み合わせが有効に働くと考えられる。
② 神経炎症の抑制
TMS: 抗炎症作用があり、ミクログリアの活性化を抑制。
エクソソーム: さらに強力な抗炎症効果を発揮し、脳の慢性炎症を軽減。
炎症が抑えられることで、うつ病の根本的な改善につながる可能性が高い。
③ ドーパミン・セロトニン系の調整
TMS: 直接的に神経伝達を活性化(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの分泌増加)。
エクソソーム: 長期的にニューロンを修復し、神経伝達系の機能を正常化。
→ 短期的な効果(TMS)と、長期的な安定性(エクソソーム)の組み合わせで持続的な改善が期待。
④ 治療効果の加速
TMSは通常、効果が現れるまで4~6週間かかるが、エクソソーム点滴を併用することで回復速度が向上する可能性がある。
TMS後の脳の可塑性が高まっているタイミングでエクソソームを投与すると、相乗効果が最大化される可能性あり。
4. 併用治療のプロトコル(推奨スケジュール)
① TMS治療
週5回(1回約30分)、計4~6週間 を基本コースとする。
その後、効果を維持するために週1~2回のメンテナンスTMS を実施。
② エクソソーム点滴
2週間に1回の点滴(1回あたり100~200億個のエクソソーム投与)。
TMS施術の直後にエクソソーム点滴を行うことで、神経可塑性の促進効果を最大化する。
3~6か月継続すると、より安定した効果が期待できる。
まとめ
TMS治療とエクソソーム点滴の併用は、うつ病に対して相乗効果を発揮する可能性が高い。
TMS は神経回路を活性化し、エクソソーム は神経修復と抗炎症作用を促進。
神経可塑性の向上、炎症の軽減、神経伝達の正常化が相乗的に作用し、回復スピードを高める可能性がある。
併用することで短期的な改善と長期的な安定を両立できる可能性があり、難治性うつ病の新たな治療選択肢となる。
TMS治療、エクソソーム点滴、は精神科薬を使わない治療選択肢になります。
精神科薬を使わず治療したい方、使っている精神科薬を減らしていきたい方、にとっては非常に有効です。
モニターも随時募集していますので、ご興味のある方はクリニックまでお問合せください。
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